資産運用や投資は、「攻めの運用」と「守りの運用」のバランスが大切です。
今回はその「守りの運用」について記していきたいと思います。
守りの運用
目次
守りの運用とは、いわば「リスク回避」です。
いつ何時でも、最悪のケースを想定し、安全かつ安定的に運用するのが理想です。
その為に大事な項目を今回は記していきたいと思います。
資金管理
どんな設定をしようが、どれだけ短期間に儲けようが、この「資金管理」をわかっていないと、あっという間に市場から退場になってしまいます。
まずは、筆者の口座を見ながら、重要な箇所を説明していきます。
維持率
時価評価額に対する必要証拠金の比率。上の口座残高で言えば、
「証拠金必要額」÷「時価残高」=維持率
となる。この数値が高ければ高いほど良い。この数値が100%になったら強制ロスカットで退場となる。
実質レバレッジ
証拠金必要額(これが最低限必要な資金)× 25(レバレッジ)= レバレッジ1倍に必要な資金が割り出せる。
その数値を、時価残高で割った数値。
但し、筆者のように法人口座の場合、レバレッジが変動するため、あくまで目安にしかならない。
現金残高
現在の口座にある金額。
口座反映前損益
まだ口座に反映していない損益。
評価損益
含み損益。トラリピでは、常に含み損を抱えて運用していくので、まずここがプラスになる事はない。
時価残高
「口座残高」ー「含み損益」= 時価残高
現段階での実質の資産の額。
東京15時ロスカット
東京15時の時点で時価残高がその残高以下の場合、強制ロスカットになる。
ちなみに法人口座の場合、ここは常に「対象外」と表示される。
自動ロスカット
時価残高がその数値になった時点で、強制ロスカット。
証拠金必要額
現在設定しているトラリピを運用するための必要最低限の金額。
余剰残高
「現金残高」ー(「証拠金必要額」+「評価損益」)= 余剰残高
この額が多ければ多いほど、運用に余裕がある証拠。
口座の各項目をザクッと説明すると、このようになります。
ですが、この口座残高で一番肝心なのが以下の項目です。
この3つの項目が一番重要になってきます。
そしてこの3つの項目は連動しています。
例えば、「証拠金維持率」というのは、現在設定しているトラップに対する最低限必要な資金を表します。
現在のトラップをさらに増やすと、この数値が当然上がります。すると、余力残高が減り、維持率も下がるという事になります。
らくトラ運用試算表の活用
その資金管理で、まず運用する前に是非活用して欲しいシステムがあります。
それが「らくトラ運用試算表」です。
マネースクエアのトップページから、
では、ドル円で以下の設定で試算してみます。
運用ペア | USD/JPY |
運用資金 | 1,000,000円 |
トラップレンジ | 100円〜120円 |
トラップ本数 | 100本 |
買いor売り | 買い |
1本の通貨数 | 1,000通貨 |
利益額 | 1,000円 |
これを「らくトラ試算表」に入力します。
「計算スタート」をクリックすると、資産された表が出てきます。
この値はどういう値かというと、1$=120円の時から運用し一度も決済されず下落した時の最大損失です。
「すべて成立時の実質レバレッジ」が1,099倍と考えれない数値になっているのでかなりリスキーな設定と思われるかもしれませんが(笑)
あくまで最悪のケースを表していると言っていいです。
ですが、現在のレート(2019年3月現在)の1$=110円で始めた場合、仮に一度も上昇せず、1$100円まで下落した場合は、最大の含み損は▲245,000ですし、余力資金も十分です。
1$=110円から初めて、その後120円まで上昇し、そこから100円まで下落しても、それまでの決済益も積み上がっているので、一概に104.29円でロスカットを喰らうという事にはなりません。
あくまで、最悪のケースとして、らくトラ運用試算表を活用するといいかと思います。
余力残高を維持する方法
前途に記したように、リスク回避において一番大事になってくるのが、「余力残高(余剰残高)」です。
ここでは、その余力残高と必要証拠金のカラクリについて記していきます。
前途のドル円ペアの設定で、実際に礼をあげて説明します。
先程の設定を表にすると、
運用ペア | USD/JPY |
運用資金 | 1,000,000円 |
トラップレンジ | 100円〜120円 |
トラップ本数 | 100本 |
トラップ幅 | 0.2円 |
買いor売り | 買い |
1本の通貨数 | 1,000通貨 |
利益額 | 1,000円 |
証拠金必要額 | 439,600円 |
最大含み損 | ▲990,000円 |
最大必要資金 | 1,429,600円 |
パターンA
上記の設定で、1$=110円の時に始めたとします。
そこから一度も上昇せず、1$105円に下落しました。
その時の口座状況は、
運用ペア | USD/JPY |
運用資金 | 1,000,000円 |
トラップレンジ | 100円〜120円 |
トラップ本数 | 100本 |
トラップ幅 | 0.2円 |
買いor売り | 買い |
1本の通貨数 | 1,000通貨 |
証拠金必要額 | 439,600円 |
105円時点の含み損 | ▲60,000円 |
余剰残高 | 500,400円 |
余剰残高は、
「運用資金」ー(「必要証拠金」+「含み損」)= 余剰残高
なので、上記の設定で1$=105円になったら、余剰残高は500,400円となります。
パターンB
では、同じように1$=110円の時に上記と同じ設定で始めるのですが、
現在のレート(1$=110円)を中心に上下5円のレンジだけ設定し始めたとします。
運用ペア | USD/JPY |
運用資金 | 1,000,000円 |
トラップレンジ | 105円〜115円 |
トラップ本数 | 50本 |
トラップ幅 | 0.2円 |
買いor売り | 買い |
1本の通貨数 | 1,000通貨 |
証拠金必要額 | 219,800円 |
105円時点の含み損 | ▲60,000円 |
余剰残高 | 720,200円 |
こうすると、必要証拠金が抑えられ同じ含み損を抱えた状態でも、余力資金で大きな差が出ます。
パターンAの場合だと、110.1円〜120円のトラリピの設定が必要証拠金に反映される為、その分余力残高が減るというわけです。
1$=105円の状態で、明日・明後日に110円以上に跳ね上がるという事はなかなかありません(たまに今年の1/3のような事が起こりますが)
なので、まず現時点でのレートを中心に1,000pips(円なら10円)程度の設定から始めれば必要証拠金も抑えれますし、維持費も問題なく運用できます。
そして、下落(または上昇)し最初に設定したレンジを超えそうだと思ったら、トラリピ設定を追加するという方法が証拠金を抑えれる一番の方法になってきます。
私は、200pips(円なら2円)切ったら設定を増やすというのを一つの目安に運用しています。
運用するペアの偏りを無くす
現在トラリピで運用できるペアは以下の通りです。
対円ペア | 米ドル/円 |
ユーロ/円 | |
豪ドル/円 | |
トルコリラ/円 | |
NZD/円 | |
加ドル/円 | |
英ポンド/円 | |
南アランド/円 | |
対ドルペア | ユーロ/ドル |
豪ドル/ドル | |
NZD/ドル |
現在は、対円と対ドルペアしか運用できません。
このペアで仮に対円ペアのみで運用したとします。
上記のレートは、対円の主なペアの日足です。
お判りいただけるでしょうか?多少は違えど、動きは良く似ていますよね?
と、いう事は、仮に上記の5つのペアを同時に運用していたら、儲かる時は一気に儲かりますが、下落した時は、5倍速で含み損が拡大していくという事になります。
ましてやマネースクエアの口座は1つしかありません。各ペアで口座を分ける事ができません。
仮に、今年の1/3のクロス円の大暴落の際、上記のペアだけで運用していたら、年明け早々ロスカットという痛い目にあっていたかもしれません。
方や、同時期のユーロドルの日足を見てみると…、
ご覧の通り、全く違う動きをしています。
1/3に関しても、クロスドルのペアなので、全く影響を受けていません。
何が言いたいかというと、ペアの偏りを無くす事で安定した運用ができるという事です。
筆者が考える、FX自動売買の鉄則は、一気に儲ける事ではありません。
どれだけ安定して長く運用できるか?です。
なので、対円ペアばかりの運用も、対ドルばかりの運用はおすすめしません。
仮に、5つのペアを運用するなら、
対円ペア:3つ 対ドルペア:2つ
が理想です。
そうする事で、リスク回避にもなりますし、安定するのはペアを分散する事が大事と考えています。
手を出してはいけないペア
現在、11のペアが運用できるトラリピですが、
筆者が絶対に運用しないペアが2つあります。
一つは、「トルコリラ円」
トルコリラ円の週足を見てみると…、
2007年、リーマンショック前までにつけたレートは、1TRY=100円だったのが、今は1TRY=20円…。
この頃のトルコの資産が1/5になっているくらい、ひどい通貨です。
原因は色々あるようですが、トラリピを運用するにあたり、最低限の条件としてレンジ相場になっている事が挙げられます。
トルコリラ円に関しては、全くと言って良いほどレンジになっていません。
ある意味わかりやすい相場なので、売り設定で運用すれば儲かるのでは?と思われるかもしれませんが、
トルコリラの最大の短所は、そのスワップ金利の高さです。
トルコの政策金利は24%です。
これだけの高金利通貨を所持していれば、スワップもバカになりませんが、「売る」という事は、逆にマイナススワップが発生します。
現在のマネースクエアのスワップ金利表です。
ペア | 買い | 売り |
米ドル/円 | +10 | ▲50 |
ユーロ/円 | ▲10 | +1 |
ユーロ/米ドル | ▲71 | +37 |
豪ドル/円 | +10 | ▲35 |
豪ドル/米ドル | 17 | +0 |
NZD/円 | +10 | ▲30 |
NZD/米ドル | ▲31 | +0 |
加ドル/円 | +20 | ▲30 |
ポンド/円 | +20 | ▲30 |
トルコリラ/円 | +40 | ▲90 |
南アランド/円 | +5 | ▲14 |
トルコリラのマイナススワップが群を抜いて高いのがわかるかと思います。
なので、仮に売りで入っても、少し相場が停滞するだけで積み上がっていくマイナススワップが大きいので、決済された頃には利益分は吹っ飛んでいるという事にもなりかねません。
トルコリラに関しては、買っても下落し含み損地獄、売ってもスワップ地獄と、トラリピでの運用には全く向いていないペアと言えます。
もう一つは、「英ポンド円」です。
現在トラリピで運用できるペアの中で、おそらく短期間で一番利益が出るペアは間違いなくこの「ポンド円」ペアです。
じゃあ良いじゃないか!と思うかもしれませんが、利益が出やすいペアなので、リスクを気にせず運用すると、とんでもない事になります。
まず、ポンド円のチャートを見てみます。
見ていただいたらわかる通り、上下運動が激しいペアです。
なので、トラリピにはもってこいのペアと思いますが、その反面リスクも高いペアです。
まず、現在のポンド円のレートは、1GBP=145円前後を推移しています。
っという事は、同じ対円のNZD円が1NZD=75円なので、同じ通貨数で運用するなら資金が約倍必要になるという事になります。
それに準じて、必要証拠金も高くなるので、ポンド円はトラリピのペアの中で一番資金が必要になってくるペアだという事です。
それだけではありません。
過去のデータから2015年11月〜2018年10月の3年間、両建てでトラリピを運用した場合の含み損を計算してみました。
※設定は全ペア1,000通貨づつ、10pips(0.1円または0.001$間隔)でのトラップ設定
最大ポジ | 証拠金 | 含み損 | |
ドル/円 | 98.82〜123.71 (買) | 1,112,500 | 3,112,500 |
ユロ/円 | 109.42〜137.50(売) | 1,392,516 | 3,962,100 |
豪ド/円 | 72.41 〜90.72(買) | 600,208 | 1,683,600 |
NZD/円 | 69.12〜83.90(買) | 459,300 | 1,117,500 |
加ド/円 | 74.78〜93.25(買) | 624,588 | 1,720,050 |
ポン/円 | 124.61〜188.80(買) | 4,030,323 | 9,060,300 |
ユロ/ド | 1.034〜1.255(売) | 1,141,324 | 2,754,831 |
豪ド/ド | 0.682〜0.813(売) | 439,575 | 956,234 |
NZD/ド | 0.642〜0.755(買) | 357,694 | 723,324 |
最大含み損が9,060,300円、必要資金が13,090,623円と、他のペアを大きく離してポンド円が圧勝です(笑)
2015年と言えば、翌年の6月に英国のEU離脱(ブレグジット)を問う投票が行われた年でもあるので、ポンドが大きく下落したという理由もありますが、2016年に起きた事が今後は起きないという保証はありません(それは他のペアも同じだが)
もしこのデータを元にポンド円を運用していくのであれば、最低でも1,500万くらいの資金をもって運用しないと、不安でならないです。
このような、ハイリスクハイリターンなペアは、仮に運用したとしても、他のペアの半分ほどの設定で運用するのが無難かと。
トレーダーの人には人気のあるペアではあります。それだけ儲かるペアだと言えます。
よって、私のような素人が手を出すと、大火傷しかねないので、運用は控えるつもりです。
決めたルールは絶対守る
投資や資産運用で失敗する例に、運用当初に決めたルールを破ってしまうという事が多々あります。
例えば、ドル円の売り設定を120円〜105円に設定したとします。
そして、どんどん円高が進み、1$=105円まで下落したとします。
そして、スケベ根性を出し、当初決めたルールを破り、105円より下の設定を追加したとします。
その後、98円まで下落したが、そこで反発し115円まで上がったとします(実際に2016年のトランプ大統領就任時、このような動きがあった)
98円で持ったポジションの含み損がえげつない事になりますよね?(笑)
こういう事は多々あります。
ですが、チャートを読めない素人は、スケベ根性を出してはいけません(笑)
実際私も、2019年3月末現在、ユーロ円の売り設定がレンジを超えて下落しています(1€=124.5円)
私は125円までしか設定していません。
もしかしたら、更に円高が進み、120円まで行っちゃうかもしれません。
ですが、追いかけません(笑)120円で反発し、クソポジを持つのが嫌なので(笑)
そのルールは徹底して守らないといけません。
儲からないのが損ではなく、損しない事が得なのです。
あと、他人のSNSにも十分注意する必要があります。
人が発信するものに関しては、ポジティブな情報は鵜呑みにしてはいけません。
どちらかというと、ネガティブな情報を聞き、リスク管理をすべきです。
そのポジティブな情報が外れても、その人は何もしてくれませんよ(笑)
クソポジを年に一度損切り
これは実際、筆者もまだ経験が無い事です。
このようなFX自動売買を運用していると、どうしても「クソポジ」というものが発生します。
クソポジとは?
読んで字の如く、クソみたいなポジションを持つ事(笑)
実際に筆者のクソポジを見てみましょう。
今、運用しているペアの中で一番含み損が多いユーロ円の買いポジに多く含み損がありますが、
このくらいならまだ「クソポジ」とまでは言えない状況です。
これが、1€=120円くらいまで下落し、133.1円のポジションの含み損が13,000円を超えたら、クソポジ確定です(笑)
ですが、そうなったら損切りするのではなく、まず1年通して運用してみて、その1年の利益の10%くらいを損切り資金に当てるという運用方法です。
あくまで1年一区切りという考え方の中で、するかしないか決めていきたいと思います。
特に、スワップがプラスのクソポジ(豪ドル円の買いポジとか)であれば、スワップが貰えるのであえて損切りする必要もないと思いますが、マイナススワップが大きいクソポジ(ユーロドルの買いポジとか)は損切りしてもいいかもしれません。
ですが、あくまでクソポジだけ(笑)
そうやって損切りした後に、上昇し後悔するという事もあるかもしれませんが(笑)
それもまた勉強です。色々やってみて自分なりの運用方法を探っていくのが得策です。
得た収益はなるべくプールする
例えば、トラリピを運用して10万円利益を得たとします。
その利益で、飲みに行ったり、風俗に行ったり(笑)、買い物したり…、というのはなるべくやめましょう(笑)
筆者は運用して9ヶ月で120万の利益を得ましたが、まだ一度も口座から引き出していません。
まんま残っています(笑)
私の場合は法人口座というのも理由にありますが(私個人の資産ではないため)、仮に個人口座だったとしても引き出していません。
なるべくプールし複利運用するのが長く運用するコツです。
特に個人の場合、運用して1年が経てば、嫌でも税金がかかってきます。
FXは雑所得にあたるので、税金は20.315%かかってきます。
税金も頭に入れて運用して行きましょう。
現在思い付くリスク回避法は以上ですが、今後また思いついたらこの記事に追記していこうと思います。
私自身、運用期間を経て、攻めの運用よりもこの「守りの運用」の方が大事だと思っています。
この守りの運用を理解し、トラリピを始めたいという方は、こちらから口座開設できます。
口座開設の方法がわからない方は、こちらの記事も参考にしてください。
※関連記事:マネースクエアの口座開設方法